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2013年5月26日 (日)

「バクです」

「バクです」という唐突な宣言が何だか浮世離れしているようで、曲の方ものんびりふわふわとして取りとめも無く、まるで夢の中にいるようですが、それでいて一抹の寂しさを感じさせて何だか気になる、そんな不思議な感触の曲です。

「今の今からバクになる」という言葉がそれまでに何があったんだろう、と想像させますが、「バクは1人で喰い続けてる」から、やっぱり振られたのかなあ、と月並みな想像が頭をよぎります。
「喰っちまいます」なんて攻撃的な言葉とは裏腹に割と受け身というか、「あんた」を陰から見守れれば、夢に見られれば良い、という非常に控えめな態度で、むしろ自分は夢を見続けていたい、ずっと夢の中で浮かんでいたいというささやかな願望が歌われていると思います。
そして、「あんた」の悪い夢を喰いたい、「あんた」の捨てたい夢を喰いたいという、優しいようでささやかなようで少し歪んでいるようにも思える奇妙な愛情が、わずかな不気味さと所詮それも夢という寂しさを醸しだしているような気がします。

バクです、というよりもバクになりたいという願望、たとえ手が届かなくてもずっと想い続けたいという気持ちを歌った曲なのだと思います。

2013年5月19日 (日)

「荒野より」

「荒野より」と言いつつも瑞々しい豊かな感情を感じさせる曲で、荒野といっても荒れ果てた野というイメージより、未開の地、まだこれからの地、という意味合いが強いのかもしれません。

「望みは何かと訊かれたら 君がこの星に居てくれることだ」というちょっと大袈裟な気もするフレーズに始まり、「君と走っているだろう あいだにどんな距離があっても」など、相手にべったりな感じの詞が続きますが、転調と共に「荒野より君に告ぐ 僕の為に立ち停まるな」と突き放したような宣言が続き、非常にドラマチックに感じます。
或いは別れの曲のようにも解釈できると思いますが、何があっても、距離が離れても、時間が経っても君が好きだ、という確固たる気持ち、一種の理想の関係を歌っているように筆者には思えます。

荒野と言えば「ローリング」の「僕は僕は荒野にいる」というフレーズを思い出しましたが、その時の荒野よりもポジティブな印象があり、中島みゆきの心境の変化、などと適当なことは言いませんが、同じ荒野に立つにしても「僕は」から「君に」に変わることで大分印象が違うのだな、と思いました。

2013年5月12日 (日)

「愛だけを残せ」

これもまた綺麗なメロディーの歌で、「愛だけを残せ 壊れない愛を 激流のような時の中で」と中島みゆきに歌われると、その言わんとすることが正確に分かるわけではないですが、とにかく儚い人生の中で愛だけが健気に輝いているような、それだけが生きるよすがであるような気分になって、胸を打たれるものがあります。

「愛だけを残せ」という言葉ですが、前節の「振り返ってしまうから」に対して逆説的な結論だと思います。愛こそ不定形で残すことは難しく、「愛だけを残せ」はむしろ人生に何も残りはしない、だから残すことを考えるより今精一杯愛しなさい、と言う意味である、と筆者は思いました。「汝の名を名乗れ」と言いつつ「名さえも残さず」と打ち消す詞には、時には振り返りたい、形ある何かを残したいと思う一種の心の弱さも認めつつも、やはりそれらは虚しい、やがて消え去るものであるという思想が見えているように思います。
仏教的な無常観と、瞬間的に光輝く「愛」という特別な存在が共存する中島みゆきの世界観が垣間見える歌であると思いました。

そんな歌詞の解釈は置いたとしても、十分な説得力がある歌、何かがわかった気になる歌で、メロディーの力、歌唱の力の偉大さを感じる曲でもあると思います。

2013年5月 5日 (日)

「雪傘」

中島みゆきと言えば未練の歌、というイメージというか、事実強烈な未練の歌が数多くあると思いますが、「雪傘」は未練も多少は残しつつも、綺麗な別れの歌で、身を引くという一種の美学を歌っているように筆者は感じました。

「雪傘」というのも綺麗な造語で、雪が降る中、車を拾うまでの間に傘に薄く雪が積もっていく、その短い時間の間に(多分)傘を持っている「あなた」の手に指を添えて、色々な思い出が通り過ぎていく、という最後の時間を表現しているように思います。
そうやって思い出に決着をつけているようでもあり、「思い出を返しましょう」、「思い出消しながら遠ざかりましょう」と、すぐ忘れられるかはわかりませんが、少なくとも決心はついているように思います。「思い出全部 アリガト」も感謝や未練というよりは、決別の言葉で、泣き出しそうな気分の中での精一杯の言葉なのだと思います。

身を引く、というスタンスの歌は今までもあったかと思いますが、この曲はより積極的(と言うと何か変ですが)で、極端に言うと振られる歌ではなくて振る歌であるようにさえ思えます。中島みゆきの歌は別れを告げられるばかりでなく、自分から告げることもあるのだな、と思いました。

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