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2006年9月 2日 (土)

「時は流れて」

「今まさにここにあるリアルタイムな感情」が中島みゆきの歌の特色である。と、いうのが30曲ばかりを聞いた筆者の現時点での結論の一つです(初期の方で既に盗賊さんも言っていますが)。

この曲も「時は流れて」という一見人生への達観を感じさせるタイトルでありながら、まったく達観や悟りなど無く「あたし」のリアルタイムな嘆きが描かれます。

時は今まさに流れていて、そして今リアルタイムで流されている「あたし」が溺れるように生きている中、美しい過去を一瞬思い出してしまったという悲しみを描いた曲だと思いました。

こういう曲は一歩引いて聴いてしまうと、単に酔っ払いが愚痴っているだけのようにも聞こえます。そこら辺がファンとそうでない者を分けるのだろうと思います。

 

さて、蛇足ですが予想をひとつ。

盗賊さんがどこかのコメントでこのアルバムを「名盤」と言っていましたが、名盤とは完成度が高いアルバムに対しての評価であることが多く、一度そうやって自分のスタイルを完成させてしまったミュージシャンは次回作で思い切った方向転換や曲調の変化を起こしてファンや批評家の不評を買うことがしばしばあります(と、言い切れるほど実はたくさんのミュージシャンを知りませんが)。

ということで、中島みゆきの次回作はきっとこれまでとは違ったカラーの「問題作」ではないでしょうか。いえ、決して飽きてきたわけではありませんよ。

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コメント

 数多い中島みゆきの楽曲の中で最も好きな曲の一つである。今回はぜひともラさんより先にコメントを書きたい。
 しかし「溺れるように生きている中、美しい過去を一瞬思い出してしまった」とは秀逸な表現である。私もこの曲を解説する言葉を探したが、これに勝る表現はないように思う。
 この表現に基づいてコメントを書く。

 私の着目は「一瞬思い出してしまった」のがいつか、どのタイミングでなのか、という点である。
 覇龍社会さんのいうように「酔っ払」った時なのかもしれない。確かにそうである印象は強い。それならば「なぜ酒を飲んだか」が問題となる。
 私はやはり「失恋」であるように思う。この「失恋」は歌われている「あんた」ではなく、もう一人の別の男である。「いくつもの恋を渡り歩いた」末に見つけた、もう一つの恋。その恋もまた、終わってしまったのである。
 その悲しみの中で思い出したのが「あんた」との恋。「もう一人の男」とはもう終わりなんだという絶望の中で、図らずも思い出したのがすでに「美しい過去」になっている一つ前の「あんた」との恋だった。
 愛憎の感情が生々しく入り混じる中で、一つ前の「美しい過去」にすがる気持ちはなんとなく分かる。「もう一人の男」に対してはまだ感謝することも謝ることもできないが、「あんた」には今なら自分の非を認めることもできる。それを踏まえて今度こそやり直したい気持ちもある。
 しかし「あたし」は「変わってしまった」。「顔も見分けてもらえはしないだろう程に」、「もう一人の男」の好みに合った女に。そして心までもが「もう一人の男」にある。
 そして「あたし」は気持ちが「もう一人の男」に残っていることを、受け入れたくないのだ。失恋の悲しみを「もう終わったんだ」という諦めによって耐えている「あたし」には、「気持ちがまだ残っている」という事実は認めがたいのである。
 もし「あんた」が「あたし」を見つけてしまったら、そこには「もう『あんた』を愛すことができない自分」を見出すしかない。だから「今はただ祈るほかはない」。「あんたが あたしを こんなに変わった あたしを 二度と みつけや しないように」。
 変わったのは「あたし」の心であり、したがってこの曲で歌われているのは「あんた」との恋の終わりではなく、「もう一人の男」との恋の終わりなのだろうと、私は思う。

 中島みゆきの曲は徹底的に一人称で語られるのに、その中に二人称の誰かと、もう一人の「誰か」の存在が浮かび上がる場合がある。この「時は流れて」も、そのような性質を持っている。
 音の響きで言うと、「ホームにて」の回にもコメントで書いたが、私は「字余り感」が好きである。「時は流れて」でいうと「人生はそんなもの」とか、「流れの中で 今はただ 祈るほかはない」とか、「こんなに変わった あたしを」とかの、メロディに乗り切らない言葉の数が好きである。

 私も蛇足ながら付け加えると、今日プールに行って、50分で1300メートルというハイペースで泳いでいたら、最後の50メートルでふくらはぎの上部が攣ってしまった。「泳ごうとして泳げなかった」状態に陥りながら、何とかプールサイドに上がってすぐに脚を伸ばした。
 するとプールの係員らしきおばさんが足の指を揺らすマッサージをしてくれて、何とか痛みは治まった。
 危機的な状況の中で、何気ない存在がありがたいものだなあという曲もこれから何曲か登場するだろう。それが「今までと違ったカラー」といえるかどうかは、その時の感じ方次第である、とだけしか、私からは言えない。

時が流れてくれてありがたいです。

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